[質問1]
 
フランチャイズ契約書の雛形を用いて契約書を作成する際の注意点を教えてください。

[回答]
 フランチャイズ・ビジネスでは、フランチャイザーはフランチャイジーに対してノウハウとビジネスモデルを提供するとともに、チェーン全体を統一的に運営する必要があります。そのため、フランチャイズ契約では、フランチャイザーが提供するノウハウ、ビジネスモデルを明らかにするとともに、チェーンを統一的に運営するためのルールを定める必要があるのです。
 巷にはフランチャイズ契約書の雛形が出回っており(「フランチャイズ契約の実務と書式」でもフランチャイズ契約書の雛形を公開しています)、そのような雛形を用いれば、一応の形を作ることは可能です。
 ただ、フランチャイザーが自身のフランチャイズ(ノウハウ、商標、店舗経営権等)を保護し、チェーンを統一的に運営するためには、チェーンの実態を正確にフランチャイズ契約書に落とし込むことが何よりも大切です。ですから、雛形を用いて契約書を作る場合でも、自社のチェーンの実態をよく検討し、実態に合致した契約書にするようにしてください。 

 


 

[質問2]
 
加盟希望者に対して売上予測を示すときの注意点を教えてください。

[回答]
 売上予測とは、フランチャイジーが出店する店舗について、立地条件などのデータに基づいて実現可能な売上高を予測計算することをいいます(フランチャイズハンドブック
390頁参照)。フランチャイジーにとって、自分が出店する店舗の売上がどの程度になるのかということは契約時の最大の関心事であり、契約の意思決定に重要な影響を与えることが一般です。ですから、フランチャイザーはフランチャイジーに売上予測を提供する場合には、その判断を誤らせないよう、客観的・合理的根拠に基づいて売上予測を示す必要があります。
 他方、フランチャイザーが客観的根拠に基づいて売上予測を作成したとしても、フランチャイジーが実際に開店する店舗では予測通りの売上が上がらないこともあります。フランチャイジーは独立した事業者ですから、このような事業リスクを負うことは当然ですが、フランチャイザーは契約書や法定開示書面、事業シミュレーション内に「売上予測と実際売上との間には、大きな誤差がある」ということを明記し、注意を喚起するようにしてください。 

 


  

[質問3]
 加盟希望者に提示するパンフレットに記載した収支モデルは売上予測になりますか。

[回答]
 売上予測は、フランチャイジーが出店する店舗について、立地条件などのデータに基づいて実現可能な売上高を予測計算することをいいます(フランチャイズハンドブック
390頁参照)。すなわち、特定の店舗候補物件について、立地条件などを調査して将来の売上を予測したデータが売上予測です。
 他方、収支モデルは特定の店舗候補物件を想定しない標準モデルであり、店舗を経営する場合の経費を説明するための資料として用いられることが多いようです。過去の裁判例でも、フランチャイザーが加盟セミナーにおいて単なる「標準モデル」としてモデル収支を示したとしても、それだけでは加盟希望者に対する不法行為を構成しないとしています(福岡高裁H13.4.10)。
 もっとも、収支モデルも加盟希望者が加盟を検討する際の資料となりますので、フランチャイザーは客観的、合理的根拠に基づいて作成する必要があります。

  


  

[質問4]
 フランチャイズ契約締結時のオーナー面談、法定開示、加盟契約締結を全部同日に行うことに問題はありますか。

[回答]
 フランチャイズ契約締結前のオーナー面談は、フランチャイザーの社長、役員と加盟希望者(フランチャイジーが法人の場合その社長、役員)が面談し、加盟契約を締結するかの判断をするための面談です。加盟開発が社長、役員以外の加盟開発担当者によって行われている場合、担当者は成績のために自社チェーンに不向きな加盟希望者の加盟を進めている場合がありますので、フランチャイズ契約締結が具体化する前に、フランチャイザーの社長ないし役員が加盟希望者と面談することが大切です。
 オーナー面談を経て、加盟契約締結の合意ができれば契約書の調印になりますが、フランチャイズ契約書は長文で複雑なため、一読して理解することは困難です。そのため、本部は、加盟希望者に対して、本部の概要やフランチャイズ契約書の要点を記載した「法定開示書面」を交付して、説明する義務を負います(中小小売商業振興法11条)。ですから、フランチャイズ契約書の調印は、法定開示を行ったのちに行ってください。
 フランチャイズ訴訟では、フランチャイジーから「契約書を渡されてその場で調印したので内容を良く見ていない」等という主張がされることが良くあります。法定開示書から契約締結までは最低1週間、契約書についても交付日に調印するのではなく、内容を検討する期間を置いてから調印するようにしてください。
 設問では、オーナー面談と法定開示と加盟契約締結を全部同日に行おうとしていますがトラブルの元です。上記の手順で、慎重に手続きを進めてください。 

 


  

[質問5]
 当社は加盟店に対して商材を本部指定業者から購入するよう義務付けています。これに反する加盟店にはどのように指導したらいいですか。

[回答]
 フランチャイズ契約では、フランチャイジーはフランチャイザーとは独立した事業者であり、自らの責任と判断で経営をします(自己責任の原則)。ただ、チェーン店では、同じ看板のお店に行けば、同じサービスが受けられるという点にブランドの価値が発生します(チェーンの統一的運営)。また、ラーメン店の元ダレのように商材がチェーンのノウハウの重要部分(営業秘密)であるような場合は、営業秘密を守るため、本部が仕入先を限定することに合理性があります。そこで、フランチャイズ契約では、店舗で使用する商材の仕入れ先を指定することは原則として有効です。過去の裁判例では、フランチャイジーによる指定業者以外からの仕入れが契約解除事由に当たるとした事例があります(東京地裁
H13.1.25)。
 ただ、商材の仕入れ価格は店舗の経営に大きな影響を与えるので、フランチャイザーによる過度な制約はフランチャイジーの営業の自由を害します。この点、公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドライン(フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について)では「チェーンとしての統一性の維持や営業秘密の保護の必要性を超え、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える過度な制限」は独占禁止法に反するとしていますので、注意が必要です。